2016年1月25日月曜日

弁理士の役割りは、売れる商品づくり、もなの??

サーファー仲間で話題になっている「ガチャロック」
消費者ニーズにマッチした宮崎発の発明品です。
「これは、売れる商品ではないから特許をとっても無駄になるかもしれません。」

こんなセリフを弁理士に言われたら、あなたはどのように思いますか?

自分は、その発明が、消費者としても自分が判断できるものである時、このセリフを言うべきなのか、言うべきではないのか、非常に悩むときがあります。

弁理士という仕事は、発明や商品が、知的財産権を取得可能であれば、知的財産権が取得可能かを確認して、特許庁に申請し、クライアントのための知的財産権を獲得する仕事です。

例えば、特許であれば、それが、世界中になかった新しいものであって、産業をある程度進歩させるものであり、現実的に今の科学で実現可能な発明や商品であれば、特許を取得できますので、申請します。

しかし、特許を取得可能であることと、それが売れる商品となるということは、必ずしも一致しません(というか、ほとんど一致しない)。なぜなら、例えば、特許の条件となる新規でなくてはならないという条件は、誰も思いつかない奇抜なアイデアでも、クリアできますから、逆に言うと、ニーズが全く無く、誰も思いつかないものでも、特許が取得できるのです。むしろ、誰も思いつかないぐらいに利用されない発明こそ、新規性が高いですから、特許になるとも言い得ます。こういった発明が、休眠特許になっている現状もあるかと思います。

我々、弁理士は、商品を持参されるクライアントの特許性を判断することが、第一義的なサービスです。しかし、地方の弁理士になると、商品に関してアドバイスができる専門家が少ないために、弁理士にも、「これって、売れると思いますか?」と尋ねてくるクライアントも多いです。

単に、特許が取れる、取れないという議論であれば、弁理士は、その専門家であるので、特許庁の判断基準に基づいて、判断ができるのですが、売れますか?売れませんか?という疑問に対する回答は、マーケティングの専門家ではないので、困難です。まして、今売れないと思われるものが、将来も売れないとは限りませんし・・。

しかし、弁理士がこのマーケティングの知識を得たり、また、マーケティングの専門家から意見を得れば、その商品が売れるか売れないかは、ある程度、検討がつく場合もあります。

特許はおおよそ、取得まで50万円かかります。これほどの投資をして、売れない商品だったら、この目の前のクライアントはどうするのか・・。そういったクライアントに対する心配は、地方の弁理士として、感じざるを得ません。

自分の判断は、もしその発明を一人の消費者として判断できるのであれば、一人の消費者として率直に意見はいうべき、というのが答えです。

仮に、新規であって、特許性が高くても、「奇人変人コンセプト」と言っては失礼かもしれませんが、発明者の思い入れが強すぎて、ニーズが明らかに弱すぎるのではないかと感じられた発明に関しては、それは、ニーズが有るか他人(業界の人や消費者)の意見を確認してから、特許を出されたほうが良いのでは、と指摘させていただいています。

やはり、世の中に役立つ商品やサービスのアイデアこそ、知的財産として高い価値を持つものです。いまだ満たされていないニーズに対する商品やサービスに適切な知的財産権を取得する。そんな弁理士サービスが理想的ではないかと感じています。

(写真は、サーファーの梅山さん自らがニーズを見つけて仲間たちとともに発明した製品。今後、爆発的なヒットの予感!?)

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