2015年6月9日火曜日

「色だけの商標」の意味って!?





この色を見て、どこかの商品を思い出しますか?

そうです。こちらは、Tiffany BLUEという色で、貴金属を販売するティファニーが1837年から使用している色です。

その色を見ると、すぐに、その商品やサービスを思い出す・・ということは、色彩がどこのメーカの商品であるかを識別してくれるわけです。

このような色彩を、商標的な効果がある色彩、と言います。

仮に、この色を包装紙等で使用する宝石を販売した場合に、Tiffanyと書いていなければ、ティファニー社の商売に対する侵害にはならない!?・・というのでは、不合理ではないですか?

そこで、色彩のみについて、商標を取得できるという制度が、日本にも導入されました。

つまり、この色のみで権利が取れるので、この色を使って、同じような商売を行うことは、商標権の侵害になることがありえるわけです。

4月からこの「色彩のみからなる商標」の制度が始まり、既に200件以上(2015年5月31日現在)の申請があったようです。

この申請の中に、下記の商標が申請されています。(商願2015-29957より抜粋)




これは、何のサービスかわかりますか?「餃子の王将」のマークですね。この場合、色以外に、「く」の字の模様も含まれています。つまり、図形と色彩の混合の商標になるわけです。

そうすると、色を真似て、図形のみ変えたマークを使用する餃子屋さんは、どうなるのでしょうか?

その場合、商標が類似かどうかを判断するときに、「色彩」が最も重視されて、図形は、参考的な判断となります。つまり、図形の相違は、比重が高くない(考慮されないといっても良い)のです。そういった意味で、特許庁はこの商標を「色彩のみからなる商標」と呼んでいます(配色された色の相対的な面積は規定されます)。

色彩の商標制度が出来る前でも、実は、上記のような餃子の王将のマークは、文字なしのロゴとして、登録が可能でした。

しかし、ロゴの図形が異なって、色彩のみが同じ場合に、模倣者を侵害と出来にくかったのです。そこで、今回の色彩商標制度により、このような模倣の防止をすることができるようになりました。

色を、商品や企業イメージで利用されている企業は、検討してみてもよいのではと思います。