2014年2月18日火曜日

アイデアのコンサルティングは誰がやるべき!?

4月より特許法等知財の四法が改正される予定です。商標法では、「音」や「色」など、新たな保護対象が加えられますし、特許法では、特許の異議申立てが復活するなど、ちょっとした大きな変更になりそうです。

この中で、弁理士法が改正される予定があります。下記の日経工業新聞からの記事では、「弁理士法改正案では中小企業などが温めているアイデア段階の技術を含め、権利化を見据えた相談を受けることを「業務」として位置付ける。」ということで、一般の方からは、「え!今までそれって、仕事でなかったの?」と逆に驚かれるのでは?と思います。

弁理士は、基本的には、「特許庁への手続き代理業務」なのです。すなわち、言わば、代書屋さんや権利取得時の代理人のみであったのが現状でした。これに対して、さらに、踏み込んで、企業のアイデア段階でのコンサルティング業までを、弁理士の業務として位置づけようという試みです。

例えば、特許を申請しないで、ノウハウ管理にすべき・・なんてアドバイスや、差別化技術の抽出などの提案を弁理士から受けることができるでしょう。

とはいっても、このような提案は、既に、知財経営と呼ばれる、経営コンサルとしての能力もある弁理士さんは、既に始めています。

弁理士が、単に、知的財産の書類や権利化を扱うのみではなく、実践的に起業の知を有効化する専門家となるということを意味し、この改正は、有意義な試みだと思われます。

一点だけ、懸念点があります。このようなアイデア活用業務を、弁理士の専権業務とせずに、開かれた業務とすべきということです。特許庁への代理業務は、中小企業診断士や税理士ではできない、弁理士だけができる専用職です。これと同様に、アイデア段階の業務まで、弁理士のみが取り扱えるようにすると、この業務を他の士業が行うことができなくなります。弁理士は1万人程度しかいませんので、400万近くの中小企業に応えるのは充分ではないですし、コンサルが得意な弁理士はあまり多くないのではという懸念もあります。つまり、弁理士のみでの力では、企業の支援が充分でなくなる恐れがあります。

企業の差別化技術を抽出して、強みを意識化させる試みは、当然、容易では有りません。中小企業診断士、弁理士、技術士などが協力しあって、解決していくことが望ましいでしょう。

企業のために、開かれた役割の中に位置づけられる弁理士が、将来的に望まれているのではないかと考えます。

改正の記事は、下記より。「日経工業新聞:2014年2月7日」

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx1520140207abas.html