2014年9月28日日曜日

未充足ニーズから商品開発 (マーケと知財のイノベーション②)

マーケティング思考でビジネスをはじめる為には、『まずは商品ありき』の思考方法から脱皮し、『消費者ニーズ』の思考方法に転換することができるかどうかが、大きな分かれ目である。

『商品ありき』の思考方法とは、商品を作れば売れるという思考方法である。戦後すぐの時代は物が足りなかったため、商品の提供そのものが消費者ニーズに合致していたといえる。一方、『消費者ニーズ』の思考方法とは、少し先の時代を先取りし、消費者ニーズを捉えて商品を提供しないと、商品は売れていかないという思考である。

しかし、前述の『商品ありき』から、『消費者ニーズ』へと本当の意味で思考方法を変化させるのが難しい。というのも、各種業界で『商品』を売るビジネスを行い、現在も会社が存続しているのに、なぜ、『商品ありき』の思考方法から、『消費者ニーズ』の思考方法へと変更しなくてはならないのかが理解できないのである。例えば、新入社員が入社し先輩から教育を受けるが、その先輩の指導の思考方法はさらに先輩の指導者から受け継いできた思考方法である。だから、その思考方法が間違っているとは新入社員には思えないのである。戦後しばらくは役に立った正しい思考方法として継承されてきたので、その思考方法が役に立たないと今更言われても、身体の隅々までいきわたっている思考方法を変えられないといった事実が存在する。

この「作れば売れる」思考方法は、もはや現在の成熟した消費社会にはマッチしない。今の社会では、『はじめに商品ありき』という思考方法から脱皮し『はじめに消費者ニーズありき』思考方法に変化が出てくれば、おのずと『売れる商品』が開発される確率が高くなるということである。

昔々、大正時代に佐賀から大阪に会社の主体を移した経営者がいた。江崎グリコの社主江崎 利一氏である。江崎利一氏の言葉に「消費者の腹の中で考えよ」という言葉がある。さすがに大ヒット商品を世に送り出した人物であるから、商品を購入してくれるのは「消費者」であることを痛いほど知っていた。だから、社長である江崎利一氏が自分で思考するのではなく、「消費者は何を欲しがっているのか」と考えたのである。出来上がった商品が、「一粒で300mキャラメル『グリコ』(一粒で2度おいしいというコピーも有名)」となった。

江崎 利一氏の言葉にあるように、「本当に売れる商品」にするためには、会社都合ではなく「消費者」側に立った商品開発が必然的に必要になる。「本当に売れる商品とは何か」の解は、「未だに満たされていない消費者のニーズ」を探し出して、消費者の目の前に提示することで得られるものである。それでは、本当のマーケティングとはとは何か?
また、次回へ・・。


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