2012年1月12日木曜日

売上げに勝る、こだわり

「残念ながら、そういう商品の提供のしかただと、風力発電の提供メーカとして責任が持てなくなるんです。」

宮崎は、エネルギー関連の産業が盛んで、ソーラー発電の業者や大学での研究も活発なようですが、風力発電などの他のクリーンエネルギー関連の業者も、がんばっています。

先日、出会った宮崎の風力発電メーカーは、40万円程度で家庭用に1台購入できるような、小型の風力発電機を全国的に販売しています。僕も驚いたのですが、この会社の風車は、なんと風速1メートルでも、ブレードと呼ばれる風車が回転するんです。当然、発電効率が高くなります。風力発電機の風車は、常時、回っていないと、その風車の性能が悪いと判断されてしまうようです。ですので、少しでも回らせるために、バッテリーで回転させていることもあるとか・・(本末転倒?)。

この会社で、この風力発電機を、たくさん販売して、会社の売上を上げるには、どうしたらよいか・・という話になりました。

安易に考えた私は、楽天市場で販売されている輸入物の風力発電機や、Facebookで人気の海外の風力発電機を彼らに知らせてみました。結局、こういったITの営業が、販売促進の秘訣・・みたいな・・。折しも、東電の電気料金値上げもあってか、楽天市場では一日に50代以上も売れている日がある。こういうふうに、うまく宣伝すれば、いっぱい売れると思うのですが・・、と私。

「確かに、台数をさばくという意味では、効果的だと思います。ただ、風力発電は、単に、商品として提供すればよいだけではなくて、設置場所毎にカスタマイズして、メンテナンスする必要があるんです」

「環境問題を真剣に考えて、風力発電を高額で導入された方に恥ずかしく無いように、せっかく購入した風力発電を有効に活用してもらいたいんです。確かに、短期的には、台数がさばけるかもしれませんが、長期的に、回っていない風車になったり、ブレードが外れて事故になったりすれば、風力発電をだれも見向きもしなくなります。我々は、風力発電機を社会的に信用させる役割も負っていますから」

確かに、その海外メーカの風力発電機は、設置まではするが、場所に応じて微調整までしているとは考え難い。むしろ楽天の販売網を利用して、売り切りのスタイルを貫いているように感じられる。当然、購入後のメンテナンスも謎が残る。

「このタイプの風力発電機は、うちよりも定価が安いのですが、発電効率が落ちるのと、騒音の問題や、暴風の時の対策が充分でない場合があります。風力発電は、ポンと買って、ポンと設置して、はい、OK!というのは、充分ではなく、設置する場所の年間の平均風速、平均風量、最大風速や、台風の頻度など、その設置場所にカスタマイズする必要があります。」

なるほど。風力エネルギーを愛していて、ものづくりをしていれば、先のことを考慮せずに、数をさばくことが一番大事だ!という論理にはならないですよね。時間がかかっても、一つ一つの風力発電機を、じっくり使ってもらえるように、カスタマイズして、微調整後に納品して、その後、メンテナンスする。大量に販売できなくても、、一つ一つに愛情を込めて、商品を販売する。そんなメーカから、我々もモノを買いたいですよね。

売上げに勝る、こだわりは、その商品に対する愛情なのでしょう。そのこだわりは、数字には出てきにくいですが、品質の良い、日本のものづくりを支えている最も大事な柱といえるでしょう。それに何より、短期では売上に変えられませんが、長期的にみたら、売上に還元されるはず。

このこだわりがあるかぎり、日本の中小企業は負けません。

頑張れ、日本の、ものづくり企業!