2011年8月12日金曜日

GPLライセンスを利用したビジネスの優位性

「いやー、このモジュールはGPLライセンスなので、公開が要件となるから、残念ながら使わないほうが良いのではないでしょうか」

技術部から知財部に、GPLライセンスを適用したプログラム利用の確認がある際に、知財部が回答する一般的な回答が上記になります。

GPLライセンスを適用したプログラムは、それを利用したモジュールのソースコード等の公開が要件になります。通常、ソフトウェア会社は、自分たちで苦労して作ったプログラムを公開するほど、気前が良くないですし、そのプログラムのセキュリティー上、公開が問題になる場合がほとんどです。このような理由から、GPLライセンスを適用したプログラムは、ソフト開発において採用されません。

しかし、最近のソフトウェア会社では、このように認識されているGPLのプログラムを利用して、ビジネスを展開している会社があります。

例えば、Salesforce.comです(この会社って、最近あまり元気ない?)

GPLライセンスで提供されるオープンソースソフトウェア(OSS)を使用した場合でも、自社内使用のみで他社に頒布しなければ、ソースコードの公開義務は免れ得ます。これを利用して、ASP、SaaSの仕組みを構築する際に、OSSを利用したサーバ側のシステム開発を行い、サービスとしてのみ社外に提供するという戦略です。

中小のソフトウェア開発会社も、GPLライセンス等、一見、面倒なライセンスををうまく利用して、ビジネスの優位性を確立していきたいですね。

(参考文献:「産業のサービス化論」へのアプローチ 社会評論社 第3章より)

2011年8月6日土曜日

ソフトウェア特許の意義(GoogleのAndroid特許批判より)

「お先に失礼します。」

他の社員が働いている中で、自分だけが早く帰るのは、どの職場でも、なかなか、難しいですよね。

役割によって、仕事の緊急度合いも違いますし、なにより、本人がすっきり、明日も頑張るためには、早めの帰宅は、大切でしょう。

少し前に流行のドラッカーでも、真摯さ、が大事だと言われています。真摯さとは、それに向きあう、ひたむきな思いと行動だと、私は、理解しています。そうすると、早く仕事を止めることは、真摯さが足りないのではないか、と思われる可能性もありますね。

ひたむきな努力に対して、ご褒美を与える制度の一つとして、特許制度があります。

特許の意義は、ひたむきな努力による研究開発の成果を、世の中に公開することで、その代償として、独占的な権利が付与されるという趣旨です。

じゃあ、ひたむきな努力による研究開発をしていなければ、特許を付与する意義がないか。

ソフトウェア特許は、「ひらめき」が特許になる傾向があり、いわゆる、研究開発部が研究開発を専用の仕事として、時間とコストをかけた成果ではないから特許を付与するのはどうかと思う、という議論があります。

例えば、知恵の輪を解くように、プログラムの独創的なアルゴリズムを生み出すエンジニアにとっては、ある課題を検討してから、3分でアルゴリズムを完成するかもしれません。

このエンジニアが、このアルゴリズムについて、特許をとりたいと望む場合、課題に対して、ひたむきな努力による研究開発の成果がはないから、社会としては、特許を与えるべきではないのではないか、とも考えられます。

「決定力を鍛える」という本で、チェスの世界チャンピオンである、ガルリ・カスパロフさんのセリフです。

「独創性というのは、努力である」、とおっしゃっています。

つまり、独創的なひらめきは、生み出すための時間やコストに関係なく努力の成果ではないかと提案されています。

なにも、研究開発部において、研究しているのみが、ひたむきな努力による研究開発ではないのではないかという発想も生まれます。

独創的なエンジニアは、日夜、様々なプログラミングをして、アルゴリズムを研究しているからこそ、新たな課題に出会ったときに、だれも思いつかない、ひらめきが生まれるのでしょう。
そうすると、「ひらめき」は、形式的には、「ひたむきな努力」が不在のように見える場合もありますが、本課題以外の課題も検討していることで、結局、「ひたむきな努力」の成果物として、出てくるものではないか、と考えます。

ソフトウェア特許自体が、意義があるのか、については、簡単には、結論が出ませんが、形式的な研究開発がされていないからといっても、必ずしも、特許を付与する価値がないとは言い切れないのではないでしょうか。




先日、Googleが、アップルやマイクロソフトに対して、Androidに対する特許の権利行使が、イノベーションの阻止にあたると激しく批判しました。確かに、Googleが支払わなくてはならない特許料でAndroid端末の使用料が上がることはユーザにとっては、もっての外です。僕も、Googleのオープンなビジネス方法には、多くを賛同します。この中で、Googleは、彼らの特許にはインチキ?特許や、疑問符がつく特許も多いのでどうかと思う、と発言されています。


確かに、米国の審査では、ゴルフの打ち方の特許も登録されたということで、ITでも、ちょっと?な特許が多いものだと予想されます。もちろん、ゴルフの打ち方の技術では、特許の付与に疑問の余地があると思いますが、今回は、当然、もう少しITよりの特許技術で、え、こんな単純なものが特許?といったものが散見されたのでは?と思われます。


ただ、自分の経験では、イノベーティブな発明ほど、発明が単純になるという経験が多々あります。つまり、イノベーティブな技術ならば、誰もがその技術を採用しなくてはなりません。ですので、その技術は、非常に単純になる傾向が強いということです。このような発明を、特許請求の範囲や明細書で記載すると、非常に単純な構成であることから、他人がこれを客観的に評価すると、えっ!こんな簡単な構成、特許にしてはダメでしょう・・。と思われてしまうことも多いということです。

特にソフトウェア特許の場合は、機械分野の発明のように、手で触れるような物を作っていないで、機能を結合したアイデアをそのまま発明とすることも多いことから、他の分野の方からは、こんなもので、特許を取らせるべきではない・・とか、単なる思いつきで特許を取らせるべきではない・・というように、誤解される傾向が強いかと思います。


発明は、手品のようだと言われます。


手品の種が明かされてからだと、なーんだ、あたりまえじゃん!・・と言われてしまいますが、その種そのものを生み出すことは、如何に単純な構成であっても、困難な場合が多いということもあります。なぜなら、その手品をみて、驚くわけですから。


そのソフトウェア発明は、考えた末に、イノベーティブな発明の結晶として、そのようにシンプルな構成になっている・・ということも、ソフトウェア特許の意義について、検討する際には、参考にしていただけないかと考えます。


今後のソフトウェア特許の動向に注目していきましょう。

2011年8月1日月曜日

GoogleがIBMから、1000以上の特許を取得

SEO by the SEAのページによると、今回、GoogleがIBMから取得する特許は1030件におよび、これらの特許は「メモリ、マイクロプロセッシング・チップの製造や構造、サーバやルータのコンピュータ・アーキテクチャ分野、リレーショナル・データベース、オブジェクト指向プログラミング、さまざまなビジネス・プロセスなど数多くの特許も含まれている」ということで、ハードウェアからソフトウェアまで幅広く、特許を取得したようです。特許は公開されているものでして、特許権者も誰なのかが公開されてしまいます。ですので、一部のコンピュータ技術の一分野のみの特許を他人から取得した場合は、その会社の今後のビジネス展開をある程度、予測することができます。ですが、今回は、かなり多岐の分野に渡っているようですので、予測は難しそうです(2011.7.28 SEO by the SEA