2011年7月25日月曜日

平成23年度 経済財政白書にて無形資産の重要性が記載

2011年7月22日に、平成23年度の経済財政白書が発表されました。ここでは、第2章の第3節「グローバルな知的経済化への対応」に、「無形資産の重要性」という項目があります。ここで、海外の顧客などのニーズを探り魅力的なブランドをつくることや、専門的な分野で高い能力を持つ人材育成などへの投資拡大を提案しています。無形資産というと、今までは、特許や商標という知財の権利取得が注目されがちでしたが、そんな単純ではない・・ということも徐々に政府に認知されてきました。例えば、中国新幹線で、海外から技術提供を受けていたにもかかわらず、中国が独自の特許を出願していたということが話題になりました。しかし、先日、この高速新幹線が、大惨事の事故に。日本の新幹線は、ほとんど事故を起こしたことがないということを、特長としていました。つまり、特許等の技術力も大事ですが、なによりも、安全な運行をするための人材教育や労働環境の整備、社内規則の徹底などの、安全のためのノウハウである無形資産も、大切な資産であるといえるでしょう。日本は、技術力だけではない無形資産を活かせば、まだまだグローバルでもトップを狙えるのでは(内閣府:年次経済財政報告)。

2011年7月20日水曜日

イノベーションにあわせた特許のカスタマイズ

普通の中小企業で、その会社になくてはならないコア技術の数は、そう多くはないと思います。大企業ならまだしも、事業がそれほど多く無い中小企業では、コア技術が1,2件あれば、充分、商業的な成功が見込めます。

当然、その数少ない1,2件が、他社との競争で負けない差別化要因になっていることが多々あるのではと思われます。そのコア技術について、営業先に提案にいくと、その営業先にアイデアを真似されてしまう・・・。という、ジレンマもあり独占的な権利がほしいと考えるのは当然の流れです。そこで、弁理士に相談して、特許出願をしていく・・・という流れになります。


このように、弁理士に特許出願の相談をして、あとは、出願が完了すれば、あなたの会社の根幹となるコア技術は、充分、守られたのでしょうか?

いえいえ、特許出願後に、第2ラウンドが始まります。


例えば、ITの世界では、現在、サーバが処理を実行してサービスの提供を受けるSaaS(Software as a Service)と呼ばれるサービスと、アプリケーションをスマートフォンにダウンロードして、スマートフォンが実行する2つの場合があります。ある発明が、前者のSaaS型、後者のアプリダウンロード型の両方で実現可能であるとしましょう。この場合には、請求項の記載をうまく書かないと、両方の型を含む請求項になりえません。つまり、発明を実施する態様にバリエーションがあると、充分な権利ではないのです。

例えば、出願時に、後者のアプリダウンロード型しか権利として、請求していなかったにもかかわらず、出願後に、前者のSaaS型で実施している競合他社が出てきてしまった・・。

こういった場合は、どうしましょうか?

優秀な弁理士であれば、最近のITのトレンドを知っているので、依頼された発明は、SaaS型とアプリダウンロード型の両方で実現できると判断して、SaaS型の記載を実施する例として、明細書のどこかにいれているでしょう。

しかし、請求項には記載していないので、競合他社に権利行使はできない。

そんな場合は、出願後に、補正をしたり、そのSaaS型のみの権利を取得するための出願(分割出願)をします。

補正は、出願段階によって、補正内容の制限が厳しいですが、分割出願は、そのような制限が少なく、基本的には、最初の出願に記載した範囲であれば、自由に請求項を記載することが可能です。特に、分割出願は、特許が成立したときにも、行うことができます。つまり、アプリダウンロード型の出願が特許として成立した直後(所定期間のみ)に、分割出願をして、SaaS型の権利を取得することができます。

このようにして、出願後に、他の実施態様で発明を実施していている競合他社に対しても、権利行使をすることができます。このためには、競合他社がどのような実施態様で、発明を実施しているか、出願後に、常にウオッチしていなくてはいけません。また、特許明細書を作成する弁理士さんが、顧客が気がついていないけど、この発明を実施する他の実施態様を明細書に記載しておくことが必要です。

何はともあれ、特許を出せば終わり・・という発想ではなく、その特許を出した発明は、貴社の数少ないコア技術なのですから、このアイデアを、世の中のイノベーションにあわせて、カスタマイズしていって、強い特許にしていく・・ということが何よりも大切と言えるでしょう。

コストをかけて特許をとっても事業と関係ない権利になっちゃうから・・そんな疑問の解決に参考になれば幸いです。

2011年7月19日火曜日

日本弁理士会の特許出願資金援助制度を知っていますか?

日本弁理士会が、個人、中小企業、大学を対象として、特許出願資金の援助制度を行っています。これは、融資ではなく、給付ですので、利用したほうがお得であることは言うまでもありません。しかし、必ず給付をいただけるわけではなく、特許出願する発明の審査が行われます。審査の期間は、1ヶ月程度ですので、現在、出願しようかなと思っている発明を、本制度に申請するとともに、弁理士に明細書の作成を依頼する・・というのが良いかもしれません。また、これ以外にも、通常の特許庁の減額制度、免除制度も併用して使えます。現在、東京都が助成している制度は、対象が外国出願に限られたり、給付額も半額が最大となっていますが、これらの制限がないのが特徴と思われます。(日本弁理士会:特許出願資金援助制度

2011年7月11日月曜日

特許の出願審査請求料が25%近く、引き下げられます!

特許の出願は、出願しただけでは特許権にはなりません。特許庁に対して、審査してくださいお願いしますという請求をします。この時の審査をお願いする手数料が、この度、大幅な値下げになりました!今年の8月1日からの審査請求に対しての適用でして、この8月1日以前に出願していても適用されます。ですので、7月の出願については、審査請求の手続きを同時に行わず、8月1日以降に行って、早期に権利を得たい場合は、適宜、早期審査請求をするのが良いのではないかと考えられます。このコストダウンを機に、企業の特許出願に対する認識も向上させたいですね。(特許庁HP:審査請求料改正のお知らせ