2011年3月16日水曜日

アイデアが生まれるとき パート1:右脳と左脳の出会い

某清涼菓子のコマーシャルでは、人が、トイレに入っているときや、オフロに入ったとき、バスに乗ったときなどに、アイデアが思いつきますが、会議室ではアイデアが思いついていません。

これは、なぜなのでしょうか?

科学的に実証されているわけではないのですが、僕らは、経験的に、頭の使い方を、右脳、左脳で考える・・というふうに言うことがあります。右脳を使うとは、創造的、情緒的な考え方で、これに対して、左脳とは、合理的、論理的な考え方です。

人は、仕事では、左脳を使うことが求められます。仕事を創造的、情緒的な統一性のない判断で進めることは困難です。したがって、自分の考え方を合理的にして、客観性を持たせるために、左脳を使って仕事を行います。

ですので、月曜日の朝は、脳を仕事モードにするために、左脳を使うことに精一杯です。これと同じことが、会議室に人が来ると起こります。会議の場では、人は、合理的かつ客観的に意見を述べなくてはいけません。したがって、会議室でも左脳が活発に動いていると考えられます。

それでは、会議室では、左脳が活発に動いているにもかかわらず、アイデアが生まれないのはなぜか?

我々人間は、右脳と左脳を同時に両方使うことはできない。
このことを意識して、アイデアは、右脳(Rモード)と左脳(Lモード)が出会うところで生まれる。

このように提案しているのは、Andy Huntさん( 「Programatic Thinking and Learning」 (オライリージャパン出版))です。彼は、人が所謂、その分野における達人になるには、右脳、左脳の上手な使い方にヒントがある、と提唱しています。つまり、会議室では、左脳だけ使っているから、アイデアが生まれませんが、トイレやバスの中では、ほっとひと息着いて、右脳を使い始めるため、右脳と左脳が出会って、アイデアが生まれるのでは?ということです。

20世紀の僕らは、左脳を使うことがビジネスで成功したり、出世するポイントだったように思います。しかし、21世紀では、左脳だけでビジネスを成功させることが難しくなってきたといえます。

GoogleやAppleのビジネスモデルは、非常に創造的なビジネスモデルであるといえるでしょう。つまり、21世紀のビジネスのポイントは、右脳の使い方と、右脳で想像したことや感じたことを、左脳で分析する能力にあると言えます。

しかし、上述のように右脳と左脳は、同時に動かすことができません。
人は、論理的な思考が始まると、論理的な考え方に集中し、同時には、創造的、情緒的な考え方ができないものです。

それでは、アイデアを生むには、どのように右脳と左脳を使えば良いのでしょうか?

この答えは、技術経営の分野で世界的な権威である、野中郁次郎氏が提唱するSECIモデルというものに、ヒントがあるように思います。

パート2に続きます。




2011年3月1日火曜日

人を動かす交渉力とは?


「私も数々の国際的な交渉をして来ましたが、アンジェリーナ・ジョリーのような人は一人もいません。」

先日、交渉論に精通した知財戦略の専門家である、秋沢伸哉先生の講義を聴きに行きました。
平日の昼間、2時間の講義にも関わらず、250人がびっちり埋まっていました。

「皆さんが連想される、交渉人っていうのは、いわゆる、テレビや映画などのイメージで、米倉涼子さんとか、アンジェリーナ・ジョリーのような人が、ミッション・インポッシブルのトム・クルーズみたいな、全身黒で、スタイルバッチリの服を着ていることを想像しますよね?」

「でも、ハードネゴシエーターが集まると言われる国際会議では、ふくよかで年配のおばちゃんや、私のような普通のオジさんしかいません。」

そりゃ、そうですよね。

僕の思っていた、交渉人のイメージは、いわゆる、ハードな天才交渉人で、どんな意見を言っても、合理的にねじ伏せてしまう・・そんなイメージでした。ですので、やっぱり、米倉涼子さんの外見イメージで、頭の中は、勝間和代さんがバッチリかな・・。

でも、そんな人ばかりが、国際会議に集まってきて、国の代表が、論理の戦いを繰り広げて、交渉をしている・・・。ある意味ではそういう一面もあるかもしれませんが、それよりも、交渉において大事なことがあるのでは?ということは、直感的にわかりますよね。

秋沢伸哉先生の講義では、「交渉とは、一般的には、立場を駆け引きするものと捉えがちであるが、交渉とは、お互いで問題解決する意思決定を行うもの」ということ。

「だけど、交渉相手と一緒に問題解決するには、相手のことを大変、深く理解しなければなりません」ということでした。

私も含め、日本人は、どちらかというと、交渉が苦手で、ソフト的な解決が多いように思います。つまり、交渉相手との関係を重視しすぎて、交渉を譲歩しすぎて終わってしまう傾向がありませんか?

しかし、このようなソフト的な解決は、譲歩しすぎていますから、交渉は失敗ですし、その後、相手をよく思わない結果となるでしょう。ですので、思い切って、「それは、のめません」と断ってみますか?そして、相手のことをよく理解する。自分のこともよく理解してもらう。そうすると初めて、交渉相手が、一緒に問題解決をするパートナーになるかもしれませんね。

先生は、モスクワの権威の方に、北方領土の問題について質問したそうです。

「時間はかかるけど、40年後には、日本の思うとおりになるよ。日本人は、誠実です。その誠実さで、何年もかけて交渉して、ロシア人に理解してもらえれば、日本の考える通りになるのではないか」「日本人というのは、対立軸だけで物事を考えない。だから社会が複雑だが、これからの時代はこういう考え方こそ、世界が求めているのではないか。」


もちろん、こんなことを言われて、傲慢になることはできませんが、日本人って、これから世界をリードする交渉人になれるかも?


(講義の主たる内容は、自信があるのですが、若干、正確さにかけるところがあるかもしれません。気がつかれた方は、コメントをいただけると幸いです。)


(写真は、歌川広重の藤枝人馬継立: 昔から役人さんとの賃金交渉は大変だったのかな・・。)