2010年12月11日土曜日

ビジネスモデルの網

「事業戦略と知的財産マネジメント」という本が、発明協会から出ました。

この本のシリーズは、今まで、特許や意匠などの知的財産法を、高校生などの初心者向けに説明した解説書でした。しかし、この号は、今までとは全く緊張感が 異 なり、このままじゃ、日本は、世界においていかれるよ、というメッセージが伝わってきます。ビジネスモデルの勉強としては、非常に参考になるのではないで しょうか。しかも、858円でお買い得。

この本の主たる著者である、妹尾先生が、先日、「最近は、経営のコンサルタントが、私にビジネスモデルについて、教えてほしいと、訪ねてくる」と、おっしゃっていました。
現状、世界のビジネスモデルが複雑化しているため、過去の、あるビジネスモデルで経営コンサルタントをしていても、他のビジネスモデルを取り扱えないと、もはや、経営コンサルタントとして、商売ができないということのようです。

従来は、知財マネジメントは、経営マネジメントと分離していました。
しかし、三位一体の知財マネジメントが提唱されて、結局、知財が先行して、経営戦略、事業戦略を行うという流れから、知財が、会社に最適なビジネスモデルを検討する・・という役回りになってきました。

ですから、世の中の複雑なビジネスモデルを知るには、知財マネジメントを知ればよい・・ということになります。

例えば、インテルインサイド!は、どうやって、お金儲けしたか?が書かれています。

ものすごく、単純化して説明しますと、コアとなるCPU(コンピュータの処理部)の部分は、ブラックBOX化して、インテル社しか作れないようにする。そ し て、そのCPUの周辺のインターフェースの部分(CPUに情報を入力したり、出力するところ)を、オープン化したり、標準化する。このインターフェースの 部分は、オープン化されているので、台湾などのメーカが安く部品を提供して、広く普及する。この普及が、AMD等の競合会社を追い抜く程度に、すすむ。し かし、CPUは、インテルしか作れないから、台湾のメーカの部品を使っても、インテルのCPUを必ず使用する。これにより、インテルは、普及+コア技術に より、大儲け。 といった感じです。

いやー、スマートですよね。

入口は、広いから、みんな入っていくけど、出口から出るまでには、必ず、自社の製品を買わせてしまう、という感じですね。

このように、入口は、フレンドリーな顔をして、誰でも入れるようにして、出口までには、実は、ちょっと儲けていまーす、というビジネスモデルは、結構、流行っているような気がします。

Amazonって、僕ら自身よりも、僕らが買った本や、商品のことを覚えていますし、僕ら自身が気づかないぐらい適切な新商品の紹介をしてくれますよね。

つまり、僕らの脳みその一部が、すでに、Amazonの中にあるようなものでして、商品のレコメンド機能が便利ですから、商品の購入段階で、非常に入りやす い入口があります。そうしますと、他社と商品の価格を比べて、お店を選んで購入・・という今までの購買方法ではなくて、僕のことをよく知っている Amazonが推薦するなら、本を買ったほうがいいと思う・・・ということも起こっているように思います。これが、他社との、ものさしが大きくすり替えら れた差別化になるのでしょう。

これからのビジネスモデル、ひょっとしたら、騙し合いのような感じもしています。
でも、インテルにしても、Amazonにしても、消費者はハッピーですから、幸せに騙されている??

日本の企業も何か世界にしかけてみたいですね。